一生のうちで、病院に入院することはどれくらいあるでしょうか?
ほとんどの方は、1回か2回だと思います。

ほとんど利用することがないから、入院中に「なんでこんなシステムなんだ?」「 もっとこうすればいいのに」 と思っても、利用者=患者さんは我慢することが多いのだと思います。また看護師さんなどが優しくしてくれるから、我慢しようと思われることも多いと思います。

医療者が病院にいることは「日常」です。自分達が働きにくいことに関しては、改善する努力をします。患者さんの治療環境については、「可哀想だと思うけど、しょうがないよね」 と、諦めてしまうことが多いと思います。

病気になったのだから我慢するのは当たり前、頑張りなさい。
病気に負けるな。
古い日本の考え方だと思います。
誰も病気になりたくてなったわけではありません。
言われなくても、みんな病気に勝ちたいと思っています。

周りの環境はそれを応援するべきなのに、今の無機質な病院やシステムは、病気に立ち向かうモチベーションを下げようとしているとしか思えません。

「おいしいご飯が食べたい」と言った子どもに、「 病院なんやから、おいしいご飯が食べられるわけないやろ」と言い返したお母さんがいらっしゃいました。
横にいた私は、大変申し訳ない気持ちになりました。
「おいしいご飯を食べてはいけない」なんていう、食事制限はありません。

「 となりのお友達がしんどいから、あなたも静かにしなさい」 と5歳の子どもに怒っているお母さんがいました。入院をしているからと言って、ずっとしんどいわけではありません。「 大声をだしてはいけません」 なんていう、行動制限はありません。大声で歌を唄ったら、ストレス発散になりますよね。大声で笑ったらストレス発散になりますし、免疫力も上がると言われています。

親は自分の子どもが病気なら、思いっきり泣きたいときもあります。でも子どもの前では笑顔でいたい。子どもから離れられないから泣けない。
「付き添いの親が泣いてはいけない」なんていう、教育指導はありません。

子どもが病気になった悲しみを、夫婦で共有したり、今後のことを夫婦で話し合いたいこともあります。お母さんは、付き添いベッドで子どもの付き添い。お父さんは面会時間が終わった後に仕事から帰宅し、自宅でご飯を食べて眠る。週末は、お父さんが付き添いを交代し、お母さんは自宅へ戻り家事をする。
「夫婦で話し合ってはいけない」なんていう、規制はありません。

ある日突然、お兄ちゃんが病院から帰ってこなくなりました。お母さんもほとんど帰ってきません。お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、みんなお兄ちゃんの心配をしています。お兄ちゃんは頑張っている。だから私も頑張って、寂しい気持ちを我慢しなければならない。
お兄ちゃんは、そんな妹の心配ばかりしていました。
「 お兄ちゃんが小児がんになったら、妹も孤独に耐えないといけない」なんていう、法律はありません。

小児がんの治療は長期の入院が必要です。
病院は治療をするだけではなく、生活をする場所でもあります。

子どもだけではなく、家族もたくさんの我慢をしています。

自分の子どもが病気なんだから、あなたがしっかりしないでどうするの。
古い日本の考え方です。
言われなくても頑張ります。
周りの環境は、その頑張りを応援してくれているでしょうか?

闘病中の子どもや家族の頑張りを本当に心から応援してくれる病院、
それが私にとっての夢の病院です。

kusunoki NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス
理事長 楠木 重範
プロフィール

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——記念すべき第1回のインタビューゲストは
「夢の病院」を、まさに実現させようとしているお二人です。
大胆かつシンプル、明快な設計が話題を呼び、
世界的に活躍している建築家の手塚貴晴・由比夫妻。
チャイルド・ケモ・ハウスが目指している理想の小児がん専門病院は、
手塚夫妻の設計で、本当にかたちになりつつあるのです。
設計ひとつひとつに込められた思いをお聞きしました。

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